(1)Lycieratiaシリーズ概要
リシェラティアという架空の世界を舞台にした、ボーイミーツガール系ファンタジーです。
ひとつの物語を、主に鏡音リン&レンの歌う民族調風味な楽曲で切り取って表現していこうという.、そんな企画です。
 悠久の昔、ひとりぼっちの少女の描いた夢が、紡いだうたが、形を為した世界。
 彼女と、ある少年が結んだ約束。
 それは、リシェラティア、その世界の名前を、忘れないこと、絶やさないこと。
 夢から生まれ落ちた儚い楽園が、決して綻ぶことのないように。
 ひとりぼっちだった少女が、もう二度と寂しい思いをしないように。
 だが時は流れ、いにしえの約束を、語り継がれた世界の名を知る者は失われ
 かつての楽園は、緩やかに滅びへと向かっていた。
 生命あるものに死をもたらす、かたちなき存在・ヨミの浸食。
 人々は、音もなく迫りくるその脅威を恐れて暮らしている。
 ヨミの言葉を解することのできる、孤児の少女・リアナ。
 約束の一族・ファ・テラの最後の生き残りの少年・レオル。
 深い森の片隅で、ヨミの呼び声に導かれるようにして、二人は出会った。
 迷いながら、傷つきながら、綻びゆく世界を歩いていく二人は
 いつか失われた名前へ、リシェラティアへと、たどり着くことができるのだろうか。
(特設サイトより抜粋)
今回のchapter.3「Memoria」は…リアナとレオル、互いに心を通わせた二人が
果ての森へと赴き、すべてのはじまりの「記憶」と向き合うおはなしです。
過去と今がつながり、物語は佳境へと向かいます。
(前回のchapter.2は…二人の主人公が出会い、世界を蝕むヨミという悲しき存在と対峙しながら
少しずつ心を通わせていくまでの物語でした)


(2) chapter.3 Memoriaについて
CDタイトルはtr.2「果ての森のメモリア」から採りました。
前回の「Harmonia」はリアナの寄り添うという在り方、に主眼があったのですが、今回はどちらかといえばレオルの物語。
ずっと閉ざしてきた過去に向き合い、その傷痕ともいうべき果ての森へと彼女の手を引いていく。全曲を通してずっと森の中に居そうな雰囲気に仕上がったかなという気がしています。
以下、収録曲のセルフライナーノーツを綴ります。

1.継承者
 悠久からの記憶を受け継ぐ者、という意味でこのタイトルを付けました。
 シーンとしてはレオルがリアナに「一緒に(果ての森へ)来てくれる?」と問いリアナが応える、というもの。
 記憶を分け合う物語、の幕開けです。
 ルカさんのコーラスがなかなか荘厳な、歴史の詰まってそうな雰囲気になってお気に入り。

2.果ての森のメモリア
 表題曲にして、シリーズ全体の起承転結の「転」にあたりそうな歌。
 シリーズを始めた初期に制作した曲。CD収録に際し結構音が変わりました。
 実はリシェラティアシリーズ内で一、ニを争うくらい自分の中でお気に入りの楽曲。
 この曲を作った辺りから掛け合いハモリに目覚めたかもしれません。
 個人的にシリーズ楽曲中最も人の歌唱で聴いてみたいなぁと思う曲でもあります。
 この複雑なハモリに挑戦して下さるという方はぜひ♪

3.Lycieratia
 テーマ曲というべきすべての始まりの歌。原曲作ったのが10年以上前なんですね。
 ここから物語を膨らませてシリーズになりました。
 不思議な構成だったり、昔作った曲だなーという感じは自分の中で強いのですが、
 この素朴なメロディーラインは今でもお気に入りです。
 この曲もそうですが、シリーズの中でレン(≒レオル)が「君」というときと「あなた」というときは
 厳密には違う人を指しています。
 最終章も含め、その辺りに着目して歌詞を追って頂いても面白いかもしれません。

4.ファ・テラ-女神の竪琴-
 過去から今へ、二人の視点でなぞっていく歌。
 このCD内で一番精神力を削りながら書いた楽曲かもしれません。
 リシェラティアシリーズの楽曲は別の曲のフレーズをふわっと伏線的に流したり、というのを
 随所でやっているのですが、この曲はじっくり聴いて頂くと、
 今までのすべての楽曲のフレーズがどこかしらで使われています。
 メイン旋律をそのまま歌っている場合もあれば、オケの一部分に隠れていることもあったり…。
 よかったら探してみてくださいませ♪



(3) 架空言語対訳集
収録曲中に出てくるリシェラティア語の対訳を、こちらに一挙掲載!
tr.1「継承者」※リン&レンと掛け合いになるルカのコーラス
 Quis yolle frasten vou curia wen.
 (悠久の昔から私たちの想いは一つ)
 Qui ysric li felier nega wen.
 (あなたに笑っていてほしい)
 Erastec lasefa toe lasefa eton les phitual.
 (竪琴を抱き何処までも世界を渡れ)
 Emes ta chan chell vou ta wea, rima foi pha tella wistania.
 (どんな絶望に染まろうとも、誇り高きファ・テラであれ)
 Emes ta chan les wen, tracier lis ryue lawen toe lawen.
 (生命の限り、あまねく常しえにうたを響かせよ)

 Tous'a Moorie o Entir.
 (果ての森へ)

かつて森に在った数多のファ・テラたちの記憶の声、とかそんなイメージです。

tr.2「果ての森のメモリア」※前奏、間奏、2番Aメロ等のルカのコーラス
 Qui rai ryuer, emes ta chan lis "Lycieratia" frastec.
 (この楽園の在る限り、謳い続けるだろう

 Tracier lis ryue mor ta curria do, ye tracier ta curria do tous lif.
 (広き世にあなたのうたを、そして、広き世のうたをあなたへと)

 Dere lis celene riman ness?
 (あの子の夢はもう、消えてしまったの?)
 Ne, di sorac ta sum chell vou di ryuer dif.
 (いいえ、その名の謳われる日を待ち望んでいる)
 Naize les phiitual ryuec.
 (彼の竪琴がその音色を響かせる限り、ずっと)

 これも森の記憶、という感じですね。残留思念…?

r.4「ファ・テラ-女神の竪琴-」※終盤のリン&レンと重ねて歌うルカのコーラス
 Quis tolle frastec curria sum, toe ta yolle frastec curria lum.
 (私たちの紡いだ言葉は、抱いた想いは、数多の日を、数多の夜を越えてきた)
 Lylpha le rima? Le frastec vou cis celene, toe cis resse.
 (私の夢を、記憶の中をふとよぎる、あなたは誰だろう)

 実はこれ、chapter.1「Epangelia」収録の造語詞版「Lycieratia」から引用しています。

(4) chapter.3 Memoriaのこと

始まりの記憶を受け継いだ二人に、突きつけられた選択。
 リシェラティアを守ること。
 あなたとともに在ること。
そのどちらかしか、選びとれないとしたら。

「リアナがどうしたいか、だよ」
「……わかんないよ」

ひとつの約束から始まった悠久の物語。
彼は、彼女は、そしてあなたは―どんな結末を与えますか?


chapter.4「Storia」のCDは、2016年3月6日(日)
京都にて開催のボーパラ関西を目標に制作中です。
ちょうど今年の3月、同じ京都の地からリシェラティアシリーズは始動しました。
次回作が最終章となります。
ぜひ物語の完結まで見届けて頂ければ幸いです。


それでは、またお会いできることを願って。

2015.11.29




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