果ての森のメモリア


時を止めた 深く冷たい森の奥
在りし日の楽園は 静かに眠る

枯れ果てた夢の跡に 立ち尽くす
あなたの瞳は 何を映しているの?
わたしの知らない日々をたゆたう背に
かける言葉を見つけられずにいます

通りすぎる風の音 空を映すまなざし
迷子の顔をした君に 見えない涙 流すあなたと
ほんの少しだけでも 分かち合えるなら
「物語を始めようか」 どうか聞いてほしい

語り伝い 謳い紡ぐ 想い巡る その言の葉にのせて
瞳の奥 遠い記憶 色鮮やかに 映るは いつかの メモリア
触れる指先 ただそれだけが伝えている
重ねた手と手の 鼓動を聴かせて
ここは果ての森 夢の始まりの場所
あなたの居ない世界に 約束のうたは 響くことはない


いにしえの物語に導かれて
失われた時間の 彼方へと歩く
あなたのその瞳が もう曇らぬように
わたしには 今 何ができるのだろう

風は季節をさらって 新しい緑 生まれ
刻まれた傷痕を 忘れることは
決してないだろう この胸の奥に
(刻まれた傷痕を) 優しく包んでゆくから
時を止めたあなたの森へ 光よ届け

そっとこの手を 包む 手を引いてくれる その温かさ ずっと
僕は 放さずにいよう たとえ明けない夜が来るとしても
護りたい あなたがわたしにくれたように
この記憶を越えて わたしたちは 歩き出すよ ここから
今 このうたよ 響け いつか
壊れかけた楽園に 歌う声が あなたへ届く日を 信じて

-Ne siwec, ne li rima ta onch.-
(忘れないで。君はもう、ひとりじゃないんだよ)
-Naize vou ta lyne chell vou ci toe le ganen.-
(あなたはそう言った。わたしは頷いた)
-Ci rima vou ifa,――"Lycieratia".-
(だからわたしは今、此処に――リシェラティアに)

語り伝い 謳い紡ぐ 想い巡る その言の葉にのせて
君は紡ぐ わたしは歌う
忘れ去られていた 忘れられない
あのうたを…

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